統計的因果推論

統計的因果推論 -モデル・推論・推測-

統計的因果推論 -モデル・推論・推測-

まえがきにていわく

10年前, Probabilistic Reasoning in Intelligent Systems(1988)を執筆していたころ, 著者は経験主義という伝統の中で研究を行っていた. この伝統では, 確率関係が人間知識の基礎を構成しているのに対して, 因果関係は確率関係の複雑なパターンを簡潔にし, 整理するのに有用な方法を与えているにすぎない. しかし, 現在では, 著者はこれと異なった考えをもっている. つまり, 因果関係は物理的な現実とその現実についての人間の理解の両方を構成する基本的要素であり, 確率関係は世界についての我々の理解の基礎をなしており, かつその理解を前進させる因果メカニズムの表層的な現象とみなす. これが, 現段階における著者の立場である.