山口尚『クオリアの哲学と知識論証』

クオリアの哲学と知識論証―メアリーが知ったこと

クオリアの哲学と知識論証―メアリーが知ったこと

おもしろかった。いわゆる「マリーの部屋」の思考実験と、それを用いた論証について、論争史を丁寧に紹介しつつ、著者自身の議論も刺激的。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%AE%E9%83%A8%E5%B1%8B


ひとつのラインとしてはデネットのように知識論証の欠陥を指摘する立場を受け入れ、一方で「どのようであるかについての知識」(赤いとはどのようなことか)についての分析も提示する。このあたりの議論は、ほとんど違和感なく読めた(知識が足りなくて検討できないのもある)、が問題は8章か。