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岩下朋世『少女マンガの表現機構―ひらかれたマンガ表現史と「手塚治虫」』

少女マンガの表現機構―ひらかれたマンガ表現史と「手塚治虫」少女マンガの表現機構―ひらかれたマンガ表現史と「手塚治虫」

  • まえがき
  • 序 章 手塚の少女マンガ作品をめぐる空白――本書の目的と構成
    • 0 問題の所在
    • 1 マンガ論における手塚の位置づけ
    • 2 手塚治虫の少女マンガ作品について
    • 3 手塚治虫を論じるということ
    • 4 「少女」という概念および少女向け媒体
    • 5 「表現論」というアプローチと本書の方法論
    • 6 本書における「マンガ」
    • 7 本書の構成
    • 第一章 手塚の少女マンガ作品はなぜ語られないのか――先行研究の検討
    • 0 「マンガ観」をめぐる問題としての「定義」と「起源」
    • 1 手塚治虫研究に関する批判的検討
    • 2 少女マンガ論に関する批判的検討
    • 3 「リボンの騎士」に関する先行研究の検討
    • 4 「手塚治虫の少女マンガ作品」を論じるための視角
  • 第二章 登場人物の構成と表現の機構――「リボンの騎士」再考
    • 0 「少女マンガらしさ」という前提
    • 1 「リボンの騎士」における性別の描き分け
    • 2 マンガにおける登場人物の構成
    • 3 サファイヤの描き分けに見る登場人物の構成
    • 4 登場人物の「内面」の構築
    • 5 「リボンの騎士」における「内面」の描写
  • 第三章 手塚治虫における少女マンガ作品――「ナスビ女王」「エンゼルの丘」分析を中心に
    • 0 作品分析の視角と目的
    • 1 「ナスビ女王」における登場人物の描写と「内面」の構築
    • 2 「エンゼルの丘」における登場人物の描写と「内面」の構築
    • 3 「双子の騎士」とリメイク版「リボンの騎士」における内面の描写
  • 第四章 「マンガ」を論じるために――課題と展望
    • 0 「マンガ」を論じる上での課題と展望
    • 1 「手塚治虫のマンガ」を論じるために
    • 2 「少女マンガ」を論じるために
    • 3 「マンガ」を論じるために
    • 4 〈マンガ〉をめぐる対話にむけて
  • あとがき

博論の書籍化らしい。
マンガ史を手塚治虫に読み込むような従来の手塚治虫観、70年代をひとつの達成点とするような従来の少女マンガ観を批判しつつ、改めて手塚治虫の少女マンガを取り上げましょうという本。二章ではキャラクター論が展開され、そこでの概念装置を利用しつつ、手塚治虫の少女マンガに対する内面があるとか内面がないとかいった分析が繰り広げられる。
どうでもよいが著者は「ともよ」さんではなく「ほうせい」さんらしい。


興味があるのは二章のキャラクター論なので、そこだけまとめる。用語の整理だけ。疑問はいろいろあるがとにかくまとめる。
テヅカ・イズ・デッド』も読み返したいが、部屋の中で行方不明(売ったかもしれない)。

記号的造形
初期の手塚治虫に見られるような類型的イメージの引用からなる図像の造形を「記号的造形」と呼ぶ。象徴的な表現を与えられたものなので、複雑な内面の表現に原理的な困難を抱えているとされる。
記号的使用
同一の対象を用いるものとして複数の図像を関連づけて用いる仕方。

記号的造形によって類型的イメージを与えられた登場人物であっても、複数の図像を組み合わせることである程度複雑なことを表現できる。リボンの騎士でいうと、サファイアは記号的な男性らしさとか記号的な女性らしさを与えられているけれど、それが同一のキャラクターに結びつくことで複雑な人物像になっている。

キャラ人格
登場人物の造形において、図像が指し示すもののこと。
キャラ図像
キャラ人格を指し示す図像のこと。
キャラクター
登場人物のこと。

複数のキャラ図像が同一の対象を指すものとして捉えられることで、人格的な存在感をもったものとしてキャラ人格が立ち現われる。この一定の存在感を持ったキャラ人格を経由し、キャラクターのいろいろな内面などが表現される。


以下はメモ。
「キャラ」について。
→「図像が指し示すもの」「内面の無い単純な人物」「記号的な造形」など3つくらいの意味がまざっている。
「内面」について。
→この言葉を使わないで同じことを言おうと思ったら、「複雑な動機構造(二階の欲求とか)」「ナラティブ」の二つがあればよさそう。