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W.R.Carter「貫世界的な出来事の同一性」

タイトル見て、「すごい! こんなテーマで論文が!」と思ったら、他の人の同一性基準を批判してるだけで、自分で同一性基準を出してるわけじゃなかった。


http://philpapers.org/rec/CAROTE
Carter, W. R. (1979). On transworld event identity. Philosophical Review 88 (3):443-452.
インヴァーゲンの「出来事が同一であるのは、原因が共通するときである」という基準を批判している。
文脈としては、インヴァーゲンのフランクファートケースに対する批判が先にあって、それに対してインヴァーゲンの前提してる出来事の同一性基準はうまくいかないという批判。


批判としては、原因が同じなら同じ出来事だって言うけど、原因が複数ある過剰決定のケースでは、それぞれの原因が無かったとしても同じ出来事が起きるよねという話。
インヴァーゲンはこの出来事の同一性基準をディヴィドソンから持ってきてるんだけど、ディヴィドソン自身この基準は取り下げてるし、元々貫世界的同一性の話ではなかった気がする。


感想:
しかし出来事の貫世界同一性は本当に難しい。例えば「彼の到着がもう少し遅れたら…」みたいな発言はよくあるので、出来事が別様でありえることは認められるべきと思うが、どうなったら同一の出来事でどうなったら同一でないのかほとんど判別方法が無い。
例えば「彼の到着があと五分遅れたら」は意味をなすが、「彼の到着があと二十年遅れたら」は意味をなさないように思う。
(文脈にもよるが、そのケースでは、「それ到着しなかったってことだろ」と言いたくなる)
同じような主体で、同じような出来事タイプで、同じような時間と場所で、同じような原因と結果だったら同じ出来事だというくらいは言えそうに思うが、それも怪しいかもしれない。