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Kit Fine「実在論の問い」

Kit Fine, The question of realism - PhilPapers

Fine, Kit (2001). The question of realism. Philosophers' Imprint 1 (1):1-30.

ファインon実在論。基づけの話を最初にはじめたのはこの論文ではなかったかな。

長くて大変だったが、実在論って何だよと悩んだことがあればおもしろい論文だろう。そう言えば昨年末もファインを読んでいた。

Kit Fine「非存在者の問題」 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

  1. 現実
  2. 事実性
  3. 還元可能性
  4. 静寂主義の挑戦
  5. 基づけ
  6. 事実性の問いを決着する
  7. 基づけの問いを決着する
  8. 基礎的なものとしての現実
  9. 何が基礎的なものか決める
  10. 実在論形而上学の統一性

実在論の問い

ここで扱われるのは、いわゆる実在論反実在論の対立だ。例えば、道徳の語りは、リアルではないという人たちがいる(道徳の反実在論)。他にも、数学に関する実在論反実在論とか、様相に関する実在論反実在論とか、美に関する実在論反実在論とかいろいろある。リアルなものはどこにもないという、グローバル反実在論もある。

いずれの場合でも、実在論者は、「ある領域の語りがそれについて語り、語りを真にするようなリアルなものがある」と考え、反実在論はそれを否定する。しかし、この対立は悪名高く、定式化が難しいことで知られている。

特に多くの人たちは、消去主義や錯誤説を否定する。道徳的反実在論者であっても、適切な道徳的語りと不適切な道徳的語りがあることは否定しない。真な道徳的主張と偽な道徳的主張と呼べるものがあることも否定しない。しかし、この場合、真だけどリアルじゃないってどういうことなんだ?という問題に答えなければならない。

事実性と還元可能性

「リアルとは何か」という問題に関して、よくあるアプローチは、事実を問題にするものと、還元可能性を問題にするものだ。

例えば、リアルなものとは、事実のために真になる(事実的な)ものだとされる。あるいは、リアルなものとは、還元不可能なものだとされる。

しかし、事実とは何か?という問いも、還元とは何か?という問いも、リアルとは何か?という問いに負けず劣らず難しい。

基づけ

ファインは、実在論の問題を、基づけGroundingの問題として整理し直している。

基づけって何よというのは難しいが、「pが成り立つことは、q, rなどが成り立つことに他ならない」という言い回しに対応するものだとされる。(この場合pはq, rなどに基づけられる)

例えば、「〈ガラスが脆い〉が成り立つことは、〈適切な条件のもとで、ガラスが壊れるだろうこと〉が成り立つことに他ならない(と考える人もいる)。

  • 基づけgroundの概念を使えば、リアル、事実、還元の関係を整理できる。
  • 何が事実的か、何がリアルかの争いは、基づけに関する争いとして整理できる。

例えば、リアル、事実性、還元には以下のような関係がある。

  • pがリアルである: pは基礎的であり(何にも基づけられない)、pは事実的である。
  • pは事実的である: pはリアルであるか、またはリアルなものに基づけられる。
  • pはq, r, ...に還元される: pはリアルではない。pはq, r, ...に基づけられる。q, r, ...は事実的である。

事実性

事実性は難しいのだけど、何かが事実的であるかどうかも、基づけについての争いとして再構成できるとされる。問題となる要素(道徳的性質など)を含む命題が、問題となる要素を含まない命題によって基づけられるかを考えればいい。これは特に、道徳的語りなど、対象領域の実践をうまく説明できるかという問題であるとされる。

例えば、道徳的性質に言及する命題が、動機づけや、社会的なマナーについての命題など、道徳的性質に言及しない命題によって基づけられるなら、道徳的命題は事実的ではない。反対に、実在論者は、道徳的性質を含む命題が他のものに基づけられないことを示せばいい。