ウィリアムソンが紹介しているダメットの思い出がおもしろいので抜き出す

ウィリアムソンが戦後の分析哲学史を扱った以下の論文がある。この中でウィリアムソンは自分が在籍していた1970年代のオックスフォードの記憶について語っている。

Timothy Williamson, How did we get here from there,
http://www.philosophy.ox.ac.uk/__data/assets/pdf_file/0006/35835/How_did_we_get_here_from_there.pdf


ダメットはウィリアムソンの指導教官であり、いくつかもしろいエピソードが紹介されている。
ウィリアムソンはダメットに対してはやや辛辣だが。
なおここでは紹介しないが、ウィトゲンシュタインに対する辛辣なコメントもおもしろい。

ダメットと行動主義

クワインダメットは行動主義者だったという話の流れで紹介されている挿話。

ダメットのキャリアの後期の挿話。オックスフォードの若い哲学者のグループが、偉大な男(ダメット)がだまっている目の前で、ダメットが意味したことについて議論していた。いくつも提案が退けられたが、その提案ではダメットに「野蛮で古臭い行動主義」を帰属させてしまうからだった。やがて、誰かがふりかえってダメットに「ではあなたの立場は何なのですか? マイケル?」とたずねた。ダメットは「それはきみが『野蛮で古臭い行動主義』と呼んだものだと思うよ」と答えた。

p.25

ダメットとウィトゲシュタインの会話

ダメットが好んで語っていたというウィトゲンシュタインと一度だけ会ったことがある話。
ウィトゲンシュタインはたまにアンスコムの家にいたらしい。

ダメットは個別指導を受けるためにアンスコムの家に通っていた。アンスコムはドアに鍵をかけないであった。いつものようにダメットが入って家の主を待っていると、ガウンをきた老人が一階に降りてきて、「ミルクはどこだ?」と聞いた。ダメットは「僕に聞かないで」と答えた。ウィトゲンシュタインとの会話はこの程度だった。

p.26