機械学習と理解は対立するか

(この記事は書きかけでしばらく放置していたのだが、何となく機運が高まったので、公開することにした) 理解とディープラーニングの対立? 現在は第三次AIブームということで、毎日のように、AIやディープラーニングに関連するニュースを耳にする──これはまあ…

SFマガジン2020年6月号

SFマガジン 2020年 06 月号発売日: 2020/05/25メディア: 雑誌 SFマガジン2020年6月号に掲載されていた短篇群がどれも良かった。 「英語圏の最近のSF短篇が載ってるのかー。紹介見るとおもしろそうな作品が多いので読むかなー」くらいの気持ちで読みはじめた…

「神経科学に触発された人工知能」

仕事の関係もあって、人工知能・ディープラーニングに関連する論文は結構読んでいるのだが、たまにはこのブログでも紹介しようかなと思ったので紹介することにする。と言っても、あまりに専門的なものはわかりやすく紹介できる自信がなかったので、比較的マ…

『失われた時を求めて』を読み終わった

ついに『失われた時を求めて』の最終巻である14巻を読み終わった。記録によると、2019年4月1日に1巻を読み終わっているので、およそ1年ちょっとの間、読みつづけていたらしい。ちなみに前半は光文社古典新訳文庫、後半は岩波文庫で読んだ(光文社版はまだ6巻…

『判断力批判』の謎

カントの『判断力批判』という本は主にふたつの事柄について論じている。美的判断と、自然に関する目的論的判断についてだ。 だが、ここには大きな謎がふたつある。 なぜ、『判断力批判』というタイトルの本で、判断一般についてではなく、このふたつの事柄…

Mark Windsor「不安な話」

Windsor, Mark (2019). Tales of Dread. Estetika 56 (1):65-86. 「テイルズ・オブ・ドレッド(不安な話)」(Tales of Dread)は、ジャンル名なのだが、英語でも特にジャンル名として定着しているわけではない。元はと言えば、ノエル・キャロルが『ホラーの哲学…

Kalle Puolakka「日常の中の小説」

Puolakka, Kalle (2019). Novels in the Everyday: An Aesthetic Investigation. Estetika 56 (2):206-222. 日常美学(エヴリデイエステティクス)の観点から、小説を読むことの経験を扱った美学論文。当然ながら、コンスタントに小説を読む読者にとって、読む…

Mark Okrent, Intending the Intender:あるいは、なぜハイデガーはデイヴィドソンではないのか

“Intending the Intender: Or Why Heidegger Isn’t Davidson,” in Heidegger, Authenticity, and Modernity: Papers Presented in Honor of Hubert Dreyfus, ed. M. Wrathall (Cambridge: M.I.T. Press, 2000). ハイデガーとデイヴィドソンを比較する論文。…

エドガー・アラン・ポー「アッシャー家の崩壊」

気軽に読んだ小説の感想などをもっと書いていきたいと思ったので書いていこう。 『「幽霊屋敷」の文化史』という本を読んでいたら、ポーの「アッシャー家の崩壊」の話が出てきて、そう言えば読んだ記憶がないなと思ったので読んだ。 「幽霊屋敷」の文化史 (…

アントン・フォード「行為と一般性」

Ford, Anton (2011). Action and generality. In Anton Ford, Jennifer Hornsby & Frederick Stoutland (eds.), Essays on Anscombe's Intention. Harvard University Press. この論文では、「行為は定義できない」という立場——より正確には「行為は、単なる…

ヴィクター・ラヴァル『ブラック・トムのバラード』

ブラック・トムのバラード (はじめて出逢う世界のおはなし―アメリカ編)作者:ラヴァル,ヴィクター発売日: 2019/12/02メディア: 単行本 たまに読んだ小説の感想を書こうと思う。 本作は、ラブクラフトの短篇小説「レッド・フックの怪」(または「レッド・フック…

今年のベスト的な

読書メーターで読んだ本、kinenoteで観た映画を記録しているので、振り返って印象に残ったものを記載してみる。大半は2019年に作られたものではない。 本 全滅領域 (サザーン・リーチ1)作者:ジェフ・ヴァンダミア出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2014/10/2…

The Cambridge History of Philosophy, 1945–2015が出た

The Cambridge History of Philosophy, 1945?2015 (English Edition)出版社/メーカー: Cambridge University Press発売日: 2019/11/21メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 以前から予告されており、個人的に待望していた The Cambridge History of…

『アーカイブ騎士団011 会計SF小説集』(第二十九回文学フリマ東京)

会計SF小説集 追記: kindle版も出ています。 第二十九文学フリマ東京に参加します。新刊『会計SF小説集』が出ます。小説アンソロジーです。 項目 内容 開催日 2019年11月24日(日) 場所 東京流通センター 第一展示場 サークル アーカイブ騎士団 ブース ク-1…

スタンフォード哲学事典のデータでword2vec

自然言語処理の領域で近年注目されている技術にword2vecというのがあります。 今日は、夏休みの自由研究として、スタンフォード哲学事典のデータを使って、word2vecを作ってみたいと思います。 人文系の領域でコンピューターを使った研究は、最近デジタル・…

苗村弘太郎「物語的説明モデルの原型としてのヘンペルモデル」

ネット公開されたということで、以下の論文を読んだ。なかなかおもしろい論文だったので紹介したい。 苗村弘太郎(2019)「物語的説明モデルの原型としてのヘンペルモデル」『科学哲学科学史研究』第13号 https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handl…

ツヴェタン・トドロフ「探偵物語の類型学」

Poetics of Prose: Literary Essays from Lermontov to Calvino (English Edition)作者: Mark Axelrod出版社/メーカー: Palgrave Macmillan発売日: 2016/10/03メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る Tzvetan Todorov(1977) The Typology of Detectiv…

Kathleen Stock, Only Imagineを読んだ

Only Imagine - Kathleen Stock - Oxford University Press Only Imagine: Fiction, Interpretation, and Imagination作者: Kathleen Stock出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2017/11/07メディア: ハードカバーこの商品を含むブログを見る 第一回はこ…

notionで読んだ論文を管理する

いそがしい人のための要約 notionで読んだ論文を記録しよう。 このURLからnotionに登録しよう。 このURLから登録すると私のクレジットが増えます。 まえおき もしあなたが論文を読むことを仕事の一部にしている人であれば、聞いてみたい質問がある。 「今月…

Kathleen Stock, Only Imagineを読みはじめた

Only Imagine - Kathleen Stock - Oxford University Press Only Imagine: Fiction, Interpretation, and Imagination作者: Kathleen Stock出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2017/11/07メディア: ハードカバーこの商品を含むブログを見る Kathleen St…

John MacFarlane「プラグマティズムと推論主義」

MacFarlane, John (2010). Pragmatism and inferentialism. In Bernhard Weiss & Jeremy Wanderer (eds.), Reading Brandom: On Making It Explici. Routledge. pp. 81--95. https://philpapers.org/rec/MACPAI Twitterで松井隆明(@takaaki_matsui)さんが紹…

Jerrold Levinson「映画音楽と物語的行為者性」

https://philpapers.org/rec/LEVFMA-2 Levinson, Jerrold (1996). Film Music and Narrative Agency. In David Bordwell Noel Carroll (ed.), Post-Theory: Reconstructing Film Studies. U Wisconsin Press. 上の文献表は映画についての論文集だが、下記の…

分析哲学の黒歴史: George A. Reisch『冷戦は科学哲学をどう変えたか』

George A. Reisch, How the Cold War Transformed Philosophy of Science: To the Icy Slopes of Logic 本書は「分析哲学の黒歴史」と呼ぶのにふさわしい内容を扱っている。黒歴史という語はネットスラングだが、ここでは、〈多くの人が忘れたがっており、実…

Noël Carroll「サスペンスのパラドックス」

ノエル・キャロルのサスペンスに関する代表的な論文を読んだ。 Carroll, Noël, 2001, “The Paradox of Suspense”, in Beyond Aesthetics Cambridge: Cambridge University Press. この論文は、Suspenseというタイトルの論文集が初出で、その後キャロルの著作…

Michael Friedman「現代哲学のカント的テーマ」

Michael Friedman, Kantian Themes in Contemporary Philosophy: Michael Friedman - PhilPapers Friedman, Michael (1998). Kantian Themes in Contemporary Philosophy: Michael Friedman. Supplement to the Proceedings of the Aristotelian Society 72 …

Hunter Crowther-Heyck「ジョージ・A・ミラー、言語、心のコンピュータメタファー」

George A. Miller, language, and the computer metaphor of mind. - PubMed - NCBI 心理学史の論文。認知革命前後の話を扱っている。 1950年代、計算機のメタファーは心理学に革命(認知革命)をもたらしたと言われる。それまで主流だった行動主義──つまり、…

Joel Isacc『働く知識 - パーソンズからクーンまでの人間科学の制作』

Working Knowledge: Making the Human Sciences from Parsons to Kuhn作者: Joel Isaac出版社/メーカー: Harvard University Press発売日: 2012/06/11メディア: ハードカバーこの商品を含むブログを見る ジョエル・アイザックのWorking Knowledge: Making th…

スーパーヒーロー研究の紹介

先日「スーパーヒーローの概念史」という論文を書いた。その時の記事でスーパーヒーロー研究には先行研究が多いと書いたが、以下でスーパーヒーロー研究の基本書を紹介することにしたい。需要があるのかよくわからないが、書き残さないと自分で忘れてしまい…

ニック・ザングウィル「ホテルペインティングと芸術の本質」

Nick Zangwill, Hotel Paintings and the Nature of Art: Everyday Artistic Phenomena and Methodology - PhilPapers Zangwill, Nick (2018). Hotel Paintings and the Nature of Art: Everyday Artistic Phenomena and Methodology. The Monist 101 (1):53…

書いた論文の宣伝: スーパーヒーローの概念史

フィルカル最新号(Vol. 3, No. 1)に「スーパーヒーローの概念史: 虚構種の歴史的存在論」という論文を書きました。 BaseまたはAmazonなどから購入できます。あと池袋のジュンク堂さんや新宿の紀伊国屋さんにあるようです。 目次は以下で見ることができます。…