Narratives and Narrators: A Philosophy of Stories
目次
- 1. 表象 Representation
- 2. 物語の内容 The content of narrative
- 3. 物語の二つの見方 Two ways of looking at a narrative
- 4. 著者と物語 Authors and narrators
- 5. 表出と模倣 Expression and imitation
- 6. 抵抗 Resistance
- 7. キャラクターに焦点を合わせた語り Character-focused narration
- 8. アイロニー: ふりをする視点 Irony: a pretended point of view
- 9. 反-解釈 Dis-interpretation
- 10. 物語と性格 Narrative and character
- 11. 性格懐疑論 Character scepticism
過去記事
Gregory Currie『物語と語り手』3.4「表象の対応」 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
Gregory Currie『物語と語り手』の性格懐疑論 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
Gregory Currie『物語と語り手』のストーリーとフレームワークの区別 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
読み終わったので感想。といってもそれほど書くことはない。
分析美学者が書いた物語(narrative)論で、非常におもしろい本だった。ジュネットなど物語論の議論もたくさん参照されている。
落穂拾い的にまとめてなかったところを書いておくと、前半では物語とは何かという話が展開される。Currieの回答によれば「物語性」には高低があって、「物語」は物語性の高いものを指す言葉だ。物語性の高低がどのように特徴付けられるかははっきりしないが、典型的な物語は、「少数の相互にかかわる人々とその運命に焦点を合わせる持続的な説明であり、依存関係についての情報で充満しており、これらすべては主題の統一によって固定されている」。同一の人々の因果的に連続した一連の行為を描いていて、主題が統一されていればよいという感じのようだ(ただ物語の定義は線引き問題なのでいくらでも境界例や例外はある)。
あと7章の語り手の視点の話や、8章のアイロニーの話もおもしろかった。