Philosophical Methodology: The Armchair or the Laboratory?
Currie, Gregory, 2013, On getting out of the armchair to do aesthetics', in M. Haug (ed) Philosophical Methodology: The Armchair or the Laboratory? Routledge.
- 美学的直観
- 芸術と知識
哲学方法論のアンソロジーに入っていた美学に関する方法論の論文。めずらしい。
前半は美学における思考実験について。ウォルトンの「ゲルニカス」(ゲルニカみたいな絵ばかりが集まる芸術ジャンル)の思考実験について。
思考実験における直観は疑われてきたが、美学の場合、そこで駆使される直観は、通常の芸術的判断やセンスの能力と同じものではないかと指摘している。思考実験に関する対立は、批評的判断に関する対立とあまり変わらない仕方になる。
ウィリアムソンは参照されていないが、現実の判断能力を想像的なケースでも使うということで近い立場かもしれない。また、美学には批評の能力というか作品を分析する能力みたいなものも求められるというのはその通りだと思う。
後半は、文学作品などの認知的価値に関する議論が、心理学などのメディアの(悪)影響に関する研究と乖離してしまっていることへの批判。経験的な研究を無視して楽天的なことを言っていてはだめだろうと。
個人的には、フィクション作品から学ぶことができるという主張は、フィクションの悪影響とセットだろうと思うので同意する。もう少し中身につっこんだ議論をしてほしかった気もするが。