http://philpapers.org/rec/HASWIA
Haslanger, Sally (forthcoming). What is a structural explanation? Philosophical Studies:1-18.
読んだ。トマソンのコメント論文も読んだ。社科哲(社会科学の哲学)っぽい論文だった。
↓トマソンのはこっち
http://philpapers.org/rec/THOSEA-4
Thomasson, Amie L. (forthcoming). Structural explanations and norms: comments on Haslanger. Philosophical Studies:1-9.
- 1. 序
- 2. 質問と説明の対象
- 3. 構造一般について
- 4. 構造的原因についてのドレツキの立場
- 5. 社会構造的説明: 見えない足
- 6. 社会構造
- 6.1. 社会的関係と社会的実践
- 6.2. 社会的制約?
- 7. 結論
社会構造に訴える説明について。説明は、可能な出来事の空間の中で、なぜAではなくBが起きたのかを答える。従って、説明を与える時は、どんな選択肢を考慮しているかが重要になる。例えば「なぜ次郎ではなく太郎がテストで1位をとったのか」と「なぜ太郎は2位ではなく、1位をとったのか」では答え方が異なる。
ここで構造と呼ばれるのは、そういう選択肢の集まりのことである。構造に訴える説明は、ある行為や出来事の原因だけではなく、可能な選択肢を考慮することで、その行為や出来事がなぜその出来事タイプであるのかを説明する。
スミスがなぜ女王陛下に頭を下げたかというと、女王を知覚したからだが、もっと言うと、頭を下げることは敬意の表現であるといったルールがあるからだとか、そういうのが構造的説明にあたる。
人は社会のなかで様々な位置をしめる。「親」「子」「女性」「上司」など。これらの役割は、人がその位置を占める「ポジション」として扱われることもあるが、それ自体がものとして扱われることもある(「親というものは……」)。
後者が構造的説明にあたる。構造的説明は、個人がなぜその行為をしたかではなく、役割と、その役割に結びついた選択肢を明らかにする。具体的には、女性が社会の中で不利な状況に置かれるといった事柄について、個人の自律性を無視することなく、「女性」や「母」といった役割と、それに結びついた構造を明らかにすることで説明を与えられる。構造的説明は、個人に左右されないという意味でロバストな説明である。