Lee Walters, Repeatable Artworks as Created Types - PhilPapers
Walters, Lee (2013). Repeatable Artworks as Created Types. British Journal of Aesthetics 53 (4):461-477.
音楽作品や文学作品は、人間が創造したタイプであるという立場を擁護する論文。これはいい論文だった。三か月前に出会いたかった。
著者は、レヴィンソンやトマソンに賛同する立場で、以下を擁護する。
- 音楽作品や文学作品は、タイプであり、個々のトークン(作品の演奏や印刷物)によって反復される。
- ただし、それらのタイプは永久不変な抽象者ではなく、人間が創造することによって存在しはじめる。
この種の立場に対し、よくある反論として以下のようなものがある。
- タイプ創造説が正しければ、音楽作品や文学作品は抽象者である。
- 抽象者は永久に存在するため、創造できない。
- 音楽作品や文学作品は創造できる。
- よってタイプ創造説は誤っている。
この論文では、この種の議論の何が誤っているのかが丁寧に解説されている。さらに、抽象者は因果関係をもちえないとか、「抽象者はこういうものでないといけない」という議論への批判がまとめて展開されている。抽象者は因果の関係項になるという議論は、結構おもしろかった。
かなり同意できる、というか来月発表で指摘しようと思っていた内容がすでに指摘されていて、困った。