例年、新しいものはあまり読んでいないのだが、今年は比較的新しいものを読んだ気がする(小説限定)。
2021年に出たもので良かったもの
スティーヴンソンは翻訳が出ただけで最初に出たのは19世紀だけど。
ベストは『6600万年の革命』。ピーター・ワッツの『ブラインドサイト』はあまり好きではなかったんだけど、これは本当に好き。何が好きなのかは説明しづらい。
『ネットワーク・エフェクト』はヒューゴー賞受賞おめでとう。このシリーズ大好きなんだけど、「もえもえー」みたいな気持ちで読んでるので受賞にふさわしいのかどうかとかよくわからない。
実話怪談でよかったもの
今年の後半は、『一生忘れない怖い話の語り方』を読んで、ずっと実話怪談ばかり読んでいた気がする。
中でも特に気に入っているのは雨宮淳司の一連の作品だ。
同作者の『怪癒』の解説文にはこうある。「実話怪談で傑作、大作という言葉を使うことが適切かどうかはわからない。だが本書の最後、約70ページをさいて収録された「蛇の杙」は著者渾身の一作であるとともに、実話怪談というジャンルにおいて恐らく今後も名を残す逸話であろうと思う」。
わたしも、雨宮淳司を読むまでは、実話怪談において、傑作、大作というものが存在することを知らなかったと思う。しかし例えば「背中」「撃墜王」(『風怨』収録)、「銀の紐」(『魔炎』収録)、「回廊」(『怪医』収録)などの作品は忘れがたい。実際、実話怪談でタイトルを覚えていること自体めずらしいと思うのだが、これらの作品についてはあまりに忘れがたかったので自然にタイトルを覚えてしまった。
個人的には「背中」「銀の紐」など、少年少女を主人公にしたジュブナイル怪談(そんなジャンルがあれば)が特に好きだが、呪術を扱ったものも独特の味がある。