Vorobej「過去の欲求」

Mark Vorobej (1998). Past Desires. Philosophical Studies 90 (3):305-318.
http://philpapers.org/rec/VORPD


この前の論文に引きつづき良い。過去持っていたが、現在は持っていない欲求を実現させた方がよいかという話。
この人は「させた方がよい」派。過去の欲求を今充足させることは、自己利益の向上になるという可能性を認め、その上でパーフィットの批判に答えている。
パーフィットの批判は、過去の欲求と現在の欲求を同程度に考慮しなければならないというのはばかげているというもの。一方、Vorobejの反論のひとつは、「同程度に」考慮しなければならないというのはまちがいであるというもの。
なぜならば、現在すでに持っていない欲求については、それを充足することによる満足感をえることはできない。この意味で、過去の欲求は、現在の欲求よりも優先順位が一段落ちることになる。