2023-01-01から1年間の記事一覧

ゲシュタルト知覚について

ゲシュタルト知覚またはアスペクト知覚について自分なりに説明してみる。なぜこの記事を書こうと思ったか。ゲシュタルト知覚の話は、別にそんな難しい話ではないはずなのだが、なぜかピンと気づらいものらしく、理解していない人が結構いるという印象をもっ…

Jonathan Gilmore, Apt Imaginings

Apt Imaginings: Feelings for Fictions and Other Creatures of the Mind (Thinking Art) (English Edition)作者:Gilmore, JonathanOxford University PressAmazon ジョナサン・ギルモアのApt Imaginingsを5章まで読んだので紹介する。本書はフィクションの…

初期分析美学における芸術創造論

ヴィンセント・トマスの"Creativity in art"および周辺の文献をちょっと調べたので備忘録的に残しておく。 Tomas, Vincent (1958). Creativity in art. Philosophical Review 67 (1):1-15. ヴィンセント・トマスのこの文献に関しては、少し前に出た村山正碩…

Jon Elster, Ulysses Unbound

Ulysses Unbound: Studies in Rationality, Precommitment, and Constraints (English Edition)作者:Elster, JonCambridge University PressAmazon ヤン・エルスター(『酸っぱい葡萄』*1の人)のUlysses Unboundという著作のIII部が芸術論らしく、ちょっと興…

Matthew Strohl「アートと苦痛を与える感情」

Strohl, Matthew (2018). Art and painful emotion. Philosophy Compass 14 (1):e12558. いわゆる「苦痛を与えるアートのパラドックス」に関するPhilosophy Compassのサーベイ論文を読んだ。サーベイなのでそれほど期待せずに読んだのだが、思ったより全然お…

当為についてさらに

前回エントリ 道徳的判断は程度を認めない0/1の判断なのか - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ Xで宣伝するのを止めてしまったら、いまひとつ反応がなくてつまらんなと思ったけど、なぜか逆説的にブログを書く気がわいてきた。 前回の記事は、「倫理学ではこ…

ロペス、ナナイ、リグル『なぜ美を気にかけるのか:感性的生活からの哲学入門』

なぜ美を気にかけるのか: 感性的生活からの哲学入門作者:ドミニク・マカイヴァー・ロペス,ベンス・ナナイ,ニック・リグル勁草書房Amazon 遅くなってしまったが、訳者の森さんから頂いた『なぜ美を気にかけるのか:感性的生活からの哲学入門』の感想を書いて…

道徳的判断は程度を認めない0/1の判断なのか

人と話していて、道徳的判断って、基本的には程度を認めない0/1の判断ですよね……と言ったら意外と理解されなかったので、もしかしてこれってあまり理解されていないことなのか?と思って、ブログ記事を書くことにした*1。基本的に、倫理学に詳しい人なら知っ…

R. Jay Wallace『モラル・ネクサス』

The Moral Nexus (Carl G. Hempel Lecture Series Book 9) (English Edition)作者:Wallace, R. JayPrinceton University PressAmazon Wallace, R. Jay (2019). The Moral Nexus. Princeton University Press. R・ジェイ・ウォレスの『モラル・ネクサス』とい…