2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

清塚邦彦「絵画的な描写について: 哲学的分析」

http://repo.lib.yamagata-u.ac.jp/handle/123456789/2855 描写の理論のサーヴェイ的な論文かな。 訳語の選択が参考になったので早く読めばよかった。内容は、個々の立場にもう少し踏み込んでほしかった気がする。特に最近の新しいバージョンの類似説には触…

Timothy Williamson『哲学の哲学』5章

The Philosophy of Philosophy (The Blackwell / Brown Lectures in Philosophy) 5章「形而上学的様相の知識」 Williamsonの『哲学の哲学』の主要な主張のひとつは、哲学の主題や方法は、他の諸分野と本質的に異なるわけではないというものである。これは一…

清塚邦彦「写真を通して物を見ること : K・L・ウォルトンの透明性テーゼをめぐって」

自分の中で毎日更新が義務みたいになってきているのだが、論文だけじゃなくて本も読みたいのでそろそろネタがつきそう。 ところで、余談だが、清塚さんはpictureの訳に「絵」をあてている(手書きの絵は「絵画」と呼んで区別している)。私はpictureは「図像…

John Hyman「芸術の理論における写実主義と相対主義」

http://philpapers.org/rec/HYMRAR http://www.queens.ox.ac.uk/academics/hyman/files/realism_and_relativism.pdf Hyman, John (2004). Realism and relativism in the theory of art. Proceedings of the Aristotelian Society 105 (1):25–53.写実性を自…

J. David Vellman「物語的説明」

ナラティブ関係もちょっとずつ読むよ。http://philpapers.org/rec/VELNE Velleman, J. David (2003). Narrative explanation. Philosophical Review 112 (1):1-25. 物語的説明の問題 シナリオ 終わり 感情と時間 例外と条件 感情的理解 Vellmanってあまり読…

森功次「ウォルトンのフィクション論における情動の問題」

http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/handle/2261/51237 1. ごっこ遊び 1.1 「ごっこ遊び」概念のポイント 1.2 「ごっこ遊び」概念の意義と問題: 快、遊び、参加 2. ゲームワールド 2.1 ゲームワールドと作品世界 2.2 世界共有という考え方に関す…

Flint Schier『図像の深層へ』5章

Deeper into Pictures: An Essay on Pictorial Representation (Cambridge Studies in Philosophy) 少し前の本だなと思って積んでいたが(kindle版ないし)、図像による指示とフィクションの図像を扱う5章を読んだ。 少し前の本だけあって(原著は1986)、出て…

Flank Sibley「美的概念」

http://philpapers.org/rec/SIBAC Aesthetic Concepts Frank Sibley Philosophical Review 68 (4):421-450 (1959) 美的なものに関する古典中の古典だが、難しい。 matsunagaさんがレジメを書いていたのでそちらもどうぞ http://9bit.99ing.net/Entry/35/ と…

Catharine Abell「写真の認識的価値」

http://philpapers.org/rec/ABETEV The Epistemic Value of Photographs Catharine Abell In Catharine Abell & Katerina Bantinaki (eds.), Philosophical Perspectives on Depiction. Oxford University Press (2010)Philosophical Perspectives on Depict…

Paisley Livingston「物語(ナラティブ)」

The Routledge Companion to Aestheticsの「物語」の章 The Routledge Companion to Aesthetics (Routledge Philosophy Companions) 物語を位置づける 物語とは何か? 選択肢の評価 語り手と語り 物語と美的価値 サーヴェイなので、読んで物語がわかった気は…

Matthew Kieran「美的知識」

"Aesthetic Knowledge" in S. Bernecker and D. Pritchard (eds.), The Routledge Companion to Epistemology (London: Taylor and Francis), Chapter 34, pp. 369-79. http://www.matthewkieran.com/storage/writing-work/KieranAestheticKnowledgeFinal.pd…

Matthew Kieran「スノッブの悪徳: 美的知識、正当化、芸術評価の徳」

Matthew Kieran, "The vice of snobbery: Aesthetic knowledge, justification and virtue in art appreciation" Philosophical Quarterly 60 (239):243-263 (2010)http://philpapers.org/rec/KIETVO http://www.matthewkieran.com/storage/writing-work/Sno…

世界が夢だとすれば、それは私の夢なのか?

# しばらく前に書いて放置していたので載せます。世界が夢だとしても、それは私が見ている夢だということを言う人がいる。以前からこれに疑問を抱いていた。きちんと書いたことがないので少し詳しく説明してみる。 世界が夢かもしれないというのは、文字通り…

ネッド・ブロック「心的像についての議論における写真的誤謬」

http://philpapers.org/rec/BLOTPF 心の哲学における心的イメージについての論文なのだけど、ここで出てきた概念(コミット、明示的非コミット、暗黙的非コミット※)はその後描写/図像の哲学でも頻繁に用いられている。背景としては、心的イメージは言語的な…

クリストファー・ボグラー、デイビッド・マッケナ『物語の法則』

物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術 これは趣味で読んだ(いや、そんなこと言ったらブログに載せているのは全部趣味だけど)。著者二人はハリウッドで脚本術を教えたりしてる人たち。 どれくらいの影響力があるのかは知らないが、ハリウッ…

Aaron Meskin, Roy T. Cook, Warren Ellis『マンガのアート: 哲学的アプローチ』その2

The Art of Comics: A Philosophical Approach (New Directions in Aesthetics) 9章 Roy T. Cook「なぜコミックは映画ではないのか: メタコミックとメディア特有の慣習」を読んだ。 http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/9781444354843.ch9/summary「…

源河亨「何が知覚されうるのか―知覚経験の許容内容について―」

http://openjournals.kulib.kyoto-u.ac.jp/ojs/index.php/cap/article/viewFile/108/46 高次性質(種性質、美的性質、道徳的性質、不在・欠如など)の知覚についてのサーヴェイ。勉強になった。 高次性質の知覚が許されるかについてよく議論されるようになった…

岩下朋世『少女マンガの表現機構―ひらかれたマンガ表現史と「手塚治虫」』

少女マンガの表現機構―ひらかれたマンガ表現史と「手塚治虫」 まえがき 序 章 手塚の少女マンガ作品をめぐる空白――本書の目的と構成 0 問題の所在 1 マンガ論における手塚の位置づけ 2 手塚治虫の少女マンガ作品について 3 手塚治虫を論じるということ 4 「…

Aaron Meskin, Roy T. Cook, Warren Ellis『マンガのアート: 哲学的アプローチ』

The Art of Comics: A Philosophical Approach (New Directions in Aesthetics) マンガ[comic]の哲学のアンソロジー。少し前から断片的に読んでいる。マンガの哲学と言っても、多くの人にとってはそんなものあるのかという感じだろうが、現在はだいたいどの…

Lopes『視覚と感受性 - 図像を評価する』

Sight and Sensibility: Evaluating Pictures これは読まねばならない気がしたのでがんばって全部読んだ。ひどくおもしろかった。 分析美学における描写[depiction]の哲学は、主として図像がなぜ対象を表象できるのかという問いを扱うが、これは応用的な話題…

戸田山和久『哲学入門』

哲学入門 (ちくま新書) 序 これがホントの哲学だ 第1章 意 味 第2章 機 能 第3章 情 報 第4章 表 象 第5章 目 的 第6章 自 由 第7章 道 徳 人生の意味――むすびにかえて 参照文献と読書案内 あとがきまたは謝辞または挑戦状 意味や情報などあるのかないのかよ…

John Perry「自己、自己知、自己概念」

Identity, Personal Identity, and the Self 10章だけ。 1. 「自己」と自己 2. 自己知 3. 信念 4. 自己についての思いSelf-Ideasと自己概念Self-Notions 5. 認識的/実践的関係とR概念 6. R概念としての自己概念 7. 自己の特別さ 8. マッハへの帰還 9. 自己知…

柏端「行為と進行形表現」

http://ir.library.osaka-u.ac.jp/dspace/handle/11094/10244 1. 行為の生起の時間 2. 行為への傾向性 3. 完遂動詞と他動的動詞 4. 因果的に関与しない部分 5. 未完了形のパラドックス 6. 計画動詞 7. 他動的な完遂動詞 8. 結語 リポジトリにあったから読ん…

Kulvicki『画像』

Images (New Problems of Philosophy) この前に出版された『画像について』は研究書だが、こちらは教科書を意図して書かれた本。学部生向けくらいなのか、文章が平易で読みやすいのでこちらを先に読むべきかもしれない。各章の要約と「さらに学ぶための文献…

鈴木生郎・秋葉剛史・谷川卓・倉田剛『ワードマップ 現代形而上学』

ワードマップ現代形而上学: 分析哲学が問う、人・因果・存在の謎 目 次 序章 現代形而上学とは何か 0―1 現代哲学の一分野としての形而上学 0―2 形而上学的問題 0―3 現代形而上学の成立とその特色 0―4 現代形而上学の世界へ 第1章 人の同一性 1―1 人の同一性…