http://philpapers.org/rec/SIBAC
Aesthetic Concepts
Frank Sibley
Philosophical Review 68 (4):421-450 (1959)
美的なものに関する古典中の古典だが、難しい。
matsunagaさんがレジメを書いていたのでそちらもどうぞ
http://9bit.99ing.net/Entry/35/
ところで、「最近の哲学者は概念の必要十分条件をあげる」みたいな記述があるが、誰のことを念頭に置いているのだろう。
この論文自体は「哲学者のすべきことのひとつは概念の必要十分条件をあげることだが、美的概念の場合は難しいので、何とかアプローチを考えましょう」みたいな感じなのだが、この辺の哲学史的な背景がわかるとおもしろそうだ。
- 芸術作品について述べる言葉には以下の二種類がある
- 非美的な語: 「淡色だ」「登場人物が多い」
- 美的な語: バランスが悪い、生き生きしている
- 美的な語の適用には趣味 / 感性が必要だ
- 美的な概念の必要十分条件はあげられない
- いくつかの概念(「知的である」「怠惰である」)は、関連する特徴が無数にあるが、その内のいくつかがあれば十分条件となる。「知的である」という概念に関連する特徴は無数にある(チェスがうまい、論理的に話せる...etc.)が、たとえば彼女は英語がペラペラで、本をたくさん読むから知的だとは言えるかもしれない。
- 美的な概念の場合こういった十分条件すらない。
- 淡色で塗りつぶされた絵であれば、「けばけばしい」は適用できないなど、否定的な条件はあるかもしれない。
- ある概念を適用するためにポジティブに働く性質、ネガティブに働く性質はある。ゆるやかな線であれば「繊細」に結びつくが、明るくて色が濃ければ、「繊細」とは言われにくいとか。ただしそれも典型的に寄与するくらいのことしか言えない。
後半は美的概念の適用をしめすために批評家がどんなことをするかについて。
- 1. 非美的特徴に言及
- 2. 美的特徴に言及
- 3. 美的特徴と非美的特徴を結びつけて言及
- 4. 直喩や隠喩の使用
- 5. 比較対照
- 6. 繰り返しの使用
- 7. 声の調子や表情やジェスチャー
ただし、これを全部使っても伝わらないときは伝わらない。