松永伸司「なにがおしゃれなのか」

vanitas004: ファッションの批評誌vanitas004: ファッションの批評誌


ほぼTwitterからの転載だけど残しておく。ファッションの分析美学というのはあまりないのだけど、この論文はそれに取り組むもの。「かっこうがおしゃれだ」という場合のおしゃれ判断の特徴をあつかっている。タイトルもおもしろいが、「以下、「おしゃれ」という概念を対象に適用することを「おしゃれ判断」と呼ぶ」という一文目で笑ってしまった*1


細かい話になりがちなのでなかなかみんながやりたがらないような、おしゃれ判断は美的判断であるという議論や、おしゃれ判断の対象とは何か?(おしゃれ性の担い手は何か?)という問題の整理をやってくれているので、これは後続の研究者にとってはありがたい論文だと思う。
おしゃれの評価には、自己の身体の客観的理解の賞賛という側面があるという指摘と、その倫理的問題に関する議論もおもしろかった。これは読まれてほしい論文。

*1:いや、こういう言語的な違和感はそれだけおしゃれに対する判断みたいなものがまじめに論じられてこなかったという証だと思うので、それに抵抗していくべきだと思うのだが