2020-01-01から1年間の記事一覧

フィクションの哲学のニューウェイブ: エイベルの『Fiction: A Philosophical Analysis』

Fiction: A Philosophical Analysis (English Edition)作者:Abell, Catharine発売日: 2020/06/10メディア: Kindle版 まえおき: フィクションの哲学の現状 最近出版されたキャサリン・エイベルのFiction: A Philosophical Analysisという著作を紹介したいのだ…

機械学習と理解は対立するか

(この記事は書きかけでしばらく放置していたのだが、何となく機運が高まったので、公開することにした) 理解とディープラーニングの対立? 現在は第三次AIブームということで、毎日のように、AIやディープラーニングに関連するニュースを耳にする──これはまあ…

SFマガジン2020年6月号

SFマガジン 2020年 06 月号発売日: 2020/05/25メディア: 雑誌 SFマガジン2020年6月号に掲載されていた短篇群がどれも良かった。 「英語圏の最近のSF短篇が載ってるのかー。紹介見るとおもしろそうな作品が多いので読むかなー」くらいの気持ちで読みはじめた…

「神経科学に触発された人工知能」

仕事の関係もあって、人工知能・ディープラーニングに関連する論文は結構読んでいるのだが、たまにはこのブログでも紹介しようかなと思ったので紹介することにする。と言っても、あまりに専門的なものはわかりやすく紹介できる自信がなかったので、比較的マ…

『失われた時を求めて』を読み終わった

ついに『失われた時を求めて』の最終巻である14巻を読み終わった。記録によると、2019年4月1日に1巻を読み終わっているので、およそ1年ちょっとの間、読みつづけていたらしい。ちなみに前半は光文社古典新訳文庫、後半は岩波文庫で読んだ(光文社版はまだ6巻…

『判断力批判』の謎

カントの『判断力批判』という本は主にふたつの事柄について論じている。美的判断と、自然に関する目的論的判断についてだ。 だが、ここには大きな謎がふたつある。 なぜ、『判断力批判』というタイトルの本で、判断一般についてではなく、このふたつの事柄…

Mark Windsor「不安な話」

Windsor, Mark (2019). Tales of Dread. Estetika 56 (1):65-86. 「テイルズ・オブ・ドレッド(不安な話)」(Tales of Dread)は、ジャンル名なのだが、英語でも特にジャンル名として定着しているわけではない。元はと言えば、ノエル・キャロルが『ホラーの哲学…

Kalle Puolakka「日常の中の小説」

Puolakka, Kalle (2019). Novels in the Everyday: An Aesthetic Investigation. Estetika 56 (2):206-222. 日常美学(エヴリデイエステティクス)の観点から、小説を読むことの経験を扱った美学論文。当然ながら、コンスタントに小説を読む読者にとって、読む…

Mark Okrent, Intending the Intender:あるいは、なぜハイデガーはデイヴィドソンではないのか

“Intending the Intender: Or Why Heidegger Isn’t Davidson,” in Heidegger, Authenticity, and Modernity: Papers Presented in Honor of Hubert Dreyfus, ed. M. Wrathall (Cambridge: M.I.T. Press, 2000). ハイデガーとデイヴィドソンを比較する論文。…

エドガー・アラン・ポー「アッシャー家の崩壊」

気軽に読んだ小説の感想などをもっと書いていきたいと思ったので書いていこう。 『「幽霊屋敷」の文化史』という本を読んでいたら、ポーの「アッシャー家の崩壊」の話が出てきて、そう言えば読んだ記憶がないなと思ったので読んだ。 「幽霊屋敷」の文化史 (…

アントン・フォード「行為と一般性」

Ford, Anton (2011). Action and generality. In Anton Ford, Jennifer Hornsby & Frederick Stoutland (eds.), Essays on Anscombe's Intention. Harvard University Press. この論文では、「行為は定義できない」という立場——より正確には「行為は、単なる…

ヴィクター・ラヴァル『ブラック・トムのバラード』

ブラック・トムのバラード (はじめて出逢う世界のおはなし―アメリカ編)作者:ラヴァル,ヴィクター発売日: 2019/12/02メディア: 単行本 たまに読んだ小説の感想を書こうと思う。 本作は、ラブクラフトの短篇小説「レッド・フックの怪」(または「レッド・フック…