2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

完全な人間は毎日同じメニューを食べる

「完全な人間は毎日同じメニューを食べる」を擁護する論証を考えたので書いておきます。 前提1. 完全な人間は、完成されて以降のどの時点においても完全である。 完全な人間は常に完全である。ただし完全な人間といえども、未完成な状態から完成にいたること…

Carrie Ichikawa Jenkins「様相的モノガミー」

Carrie Ichikawa Jenkinsは、現在ロマンティックラブの形而上学に取り組んでいるらしいです。 サイトができていたので見てみました。これはおもしろそうです。 http://www.themetaphysicsoflove.com/ twitterアカウントとブログもできています。 https://twi…

小口峰樹「知覚は矛盾を許容するか?」

http://openjournals.kulib.kyoto-u.ac.jp/ojs/index.php/cap/index 1 はじめに 2 知覚の矛盾許容性 3 錯覚経験の不連続性 4 現象学的特徴づけへの懐疑 5 感覚的分類理論 6 滝の錯視の再解釈 7 結語 知覚は概念的内容を持つかという問いを扱ったもの。非概念…

Gregory Currie『物語と語り手』3.4「表象の対応」

Narratives and Narrators: A Philosophy of Stories ちょっとずつ読んでいるCurrieの『物語と語り手』の3章4節「表象の対応[Representational Correspondene]」が興味深かったのでまとめる。 3章は、作品外在的な見方と内在的な見方について議論しているの…

哲学語の共起ネットワーク

スタンフォード哲学事典のデータを使って自然言語処理をやってみる。自然言語処理の技術を使った研究は心理学や社会学などでもさかんになりつつあるようなので、メタフィロソフィーの分野でもやったらおもしろいのではないかと思う。 とりあえず共起ネットワ…

John Kulvicki『イメージ』

読み終わったので全体の感想。図像と描写の哲学の教科書であると同時に、広義のイメージ(グラフやfMRIや心的イメージ)の哲学の教科書。 各章に要約と読書案内もついている。 Images (New Problems of Philosophy) 1. 経験 2. 認知 3. 類似 4. ふり 5. 構造…

John Kulvicki『イメージ』7章「科学的イメージ」

Images (New Problems of Philosophy) 1. 科学的イメージについての諸説 2. 良い構造Ι: 引出し可能性と顕著さ 3. 良い構造II: 図像、イメージ、図 4 構造の保存か、見かけ上の構造の保存か? 少しずつ読んでいるKulvickiの本。この章はなかなかおもしろかっ…

Amie Thomasson「フィクショナルキャラクターを語ること」

http://philpapers.org/rec/THOSOF http://www.amiethomasson.org/papers%2520to%2520link/Speaking%2520of%2520Fictional%2520Characters.doc フィクショナルキャラクターについての抽象的人工物説を擁護する論文。個人的には、抽象的人工物説が一番賛成で…

Robert Hopkins「図像と美しさ」

http://philpapers.org/rec/HOPPAB※節タイトルは私がつけました。 Ⅰ. 「物質の美しさ」 Ⅱ. 図像と表象されたものについての美的判断 Ⅲ. 図像と美の堪能 Ⅳ. 表象による説明 Ⅴ. 経験による説明 Ⅵ. 図像の美的価値 絵や写真には他の芸術にはない芸術的価値があ…

Alon Chasid「図像的関係はなぜ指示ではないのか」

http://philpapers.org/rec/CHAWTP この人イスラエルの人だな。イスラエルって分析美学さかんなのかな(そんなことないか)。 1. イントロダクション 2. グッドマンのテーゼ 3. 図像と美的性質 4. 第三のテーゼ 5. 反論の否定 絵や写真は、何かの絵や写真で…

藤川直也『名前に何の意味があるのか: 固有名の哲学』

名前に何の意味があるのか: 固有名の哲学 前半は新しい名前の指示の理論、後半は名前の意味論と語用論で、どちらもよく知らない分野だったので大変勉強になった。 一部で有名なように、クリプキは名前を用いた指示について因果説(ただし本書はこれを歴史的…

Robert Hopkins『図像、イメージ、体験 - 哲学的探求』6章「不確定性と解釈」

Picture, Image and Experience: A Philosophical Inquiry http://philpapers.org/rec/HOPPIA-2 1. 問題 2. 新しいはじまり 3. 分離: ひとつの困難を克服 4. 図像を解釈する 5. 分離と解釈 6. 分離と未完の説明 7. 多様性を受け入れる: 類似、構造、遠近法で…

Timoty Williamson『哲学の哲学』6章「思考実験」

The Philosophy of Philosophy (The Blackwell / Brown Lectures in Philosophy)前回 http://d.hatena.ne.jp/at_akada/20140329/13960923366章を読んだ。感想: 双子地球みたいな奇抜な思考実験など使わなくても研究はできるという哲学者はいるだろうが、事例…

John H. Brown「図像の内にものを見ること」

Philosophical Perspectives on Depiction (Mind Association Occasional) Brown , John H. (2010). Seeing Things in Pictures. In Catharine Abell Katerina Bantinaki (ed.), Philosophical Perspectives on Depiction. http://m.oxfordscholarship.com/m…

Robert Hopkins「遠近法、慣習、妥協」

http://philpapers.org/rec/HOPPCA http://eprints.whiterose.ac.uk/10321/ 1. 問題 2. 図像の理論 3. 挑戦ー図像の多様性を受け入れる 4. 挑戦に応える 5. 慣習説との妥協 6. 遠近法の何が特別なのか 遠近法の何が特別なのか。これはこれまでよく議論されて…

Robert Hopkins「描写を説明する」

http://philpapers.org/rec/HOPED Hopkins, Robert (1995). Explaining depiction. Philosophical Review 104 (3):425-455.九割がた読んでから、読みたかった論文はこれじゃなかったことに気づいた。ともあれまとめる。 図像はどのように対象を表象するか。…

伊藤剛『テヅカ・イズ・デッド』

テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へあまりまとめられないのでざっくりと。 絵に描かれたキャラクターについて考えてみましょう。 絵と設定だけでも何となく存在感がありますし、こういうものはストーリーと切り離されたところでも消費や受容の対…

John Kulvicki「図像の多様性」

Philosophical Perspectives on Depiction (Mind Association Occasional) Kulvicki, John (2010). Pictorial Diversity. In Catharine Abell Katerina Bantinaki (ed.), Philosophical Perspectives on Depiction. 25. http://philpapers.org/rec/KULPD 1. …