Robert Hopkins「描写を説明する」

http://philpapers.org/rec/HOPED
Hopkins, Robert (1995). Explaining depiction. Philosophical Review 104 (3):425-455.

九割がた読んでから、読みたかった論文はこれじゃなかったことに気づいた。ともあれまとめる。



図像はどのように対象を表象するか。例えばある絵は座り込んだ女性を描き、それによって絶望を象徴する。後者は言葉でもできるが、座り込んだ女性を表象する仕方は記述と図像では異なっている。
図像特有の表象の仕方を「描写」と呼ぼう。描写については様々な説明がなされてきた。しかし微妙な反例の応酬になっていて、生産的な状況ではない。そこで描写特有の特徴をいくつかあげ、それを説明するということを試みよう。

  • x1 描写されるものは何かしらの性質を持ったものとして描写され、描写された性質は十分確定したものである。

単なる三角形、単なる机というものは描写できない。四本足の机などのようにある程度確定したものしか描写できない。ただし完全に確定したものでなければならないというわけでもない。

  • x2 描写されるものはすべていずれかの視点から描写される。

図像はすべて特定の視点に結びつく。ただし視点が不確定であるとか、複数の視点を組み合わせることはある。

  • x3 描写されるものはすべて見えるものである。

見えるものでないと描写できない、見えるものとしてしか描写できないという二つの解釈があるが、これは両方の解釈を含める。

  • x4 図像による誤った表象は可能だが、限界はある。

エッフェル塔の細部を少し間違えて描くのは問題ないが、間違えすぎてエッフェル塔ではなくビッグベンの絵のようになってしまったというのは認められない。

  • x5 描写に関する一般的能力とOの見た目の知識は、Oの描写を理解するための十分条件である。
  • x6 描写に関する一般的能力とOの見た目の知識は、Oの描写を理解するための必要条件である。

絵一般の見方を知っていて、ヤンバルクイナの姿を知っている人は、ヤンバルクイナの絵をヤンバルクイナの絵として見ることができる。


以上を説明するためにHopkinsは経験された類似説という立場を取る。図像の中にヤンバルクイナを見ることは、図像が何かに似ているのを見ることによって説明される。これは、ウォルハイムのseeing-in説を類似性の概念を組み込むことで強化しようという案である。
しかし類似に訴える説明は、何に関する類似なのかを明らかにしなければならない。
Hopkinsによれば、問題になるのは、アウトラインシェイプの類似である。
アウトラインシェイプとは、三次元の座標を二次元のスクリーンに投射した際の輪郭である。Hopkinsは直感的な例として、曇った鏡の上で写っているものの輪郭をなぞったときにできる線をあげている。アウトラインシェイプの作り方は細かく説明されているが、絵がないと説明しづらい上に、3Dグラフィックの基礎の説明で出てくるようなことなので省く。
(基本的にはプロジェクション座標変換と言うやつだと思う)


あとはこれを使ってさっきの六つの特徴を説明する。そこは省略する。
アウトラインシェイプの類似というアイデアはたくさん例外がありそうなのだが(広義の遠近法を使わなければ当てはまりにくい)、少なくとも典型的な図像の例を説明する上では有益なアイデアだと思う。もし絵というものを見たことがない宇宙人に説明することになったら、私もこう説明するかもしれない。
あと、実際の類似ではなく、あくまで類似の体験が問題になるので、そこでいろいろな例外を許容するようになっている。