スタンフォード哲学事典「出来事」の項目2.1の節「活動、達成、到達、状態」のまとめ
http://plato.stanford.edu/entries/events/
あがってる参考文献は
- Ryle, G., 1949, The Concept of Mind, London: Hutchinson.
- Vendler, Z., 1957, ‘Verbs and Times’, Philosophical Review, 66, 143-60.
Vendlerの方は、ぐぐったら手に入りました。
あとwikipediaに解説がありました。
「ヴェンドラーの動詞四分類」って有名なようですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E8%A9%9E
ヴェンドラーについてtemporalia様にも記事がございました。
http://malaprop.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/vendler-mourela.html
出来事が4つのタイプに分類されています。
- (1)活動: activity
- ex.「ジョンが丘を歩く」
- 同質的(部分もまた同種の出来事である)
- 丘を歩くことの前半だけ切り出しても、それはなおも「丘を歩くこと」である
- 完了点を持たない
- (2)達成: accomplishment
- ex. 「ジョンが山にのぼりきる」
- 完了点をもつ
- 同質的ではない
- 山にのぼりきることの前半部分だけを切り出したものは、「山にのぼりきること」ではない
- (3)到達: achievement
- ex. 「ジョンが山頂に到達する」
- 完了的な出来事
- 瞬間的
- (4)状態: state
- ex. 「ジョンは最短の道を知っている」
- 同質的
- (おそらく)時間を通じて延長する
- 「どれくらいの時間つづくか」という質問は意味をなさない
- 「完了したかどうか」という質問は意味をなさない
完了点だけを切り出したのが「到達」で、到達にいたるプロセスを含むのが「達成」と呼ばれているようですね。
なお「達成」と「到達」を合わせて「パフォーマンス」(performance)と言うこともあるそうです(ここ定訳あるんでしょうか)。
アリストテレスのエネルゲイア / キネーシスの区別にのっかって、これらのイベントのタイプを動詞の種類に対応させる人もいます。
# ちなみに、キネーシス = performance
# エネルゲイア = state, activity
# だそうです
- 状態state
- 進行形をもたない動詞
- ex. know (日本語の「知る」は進行形あるけど)
- 活動activity
- 進行形をもち、現在進行形は過去完了形を含意する
- ex. 「ジョンは丘を歩いている」は「ジョンは丘を歩いた」を含意する
- 例文がどうみても過去完了形じゃないけど、本文にそう書いてありました
- 実行performance
- 現在進行形が過去完了形の否定を含意する
- ex. 「ジョンは山にのぼっている」は「ジョンはまだ山にのぼっていない」を含意する
- これも例文がどうみても過去完了形じゃありません。あとこれ、日本語だとあてはまらないですね
- 日本語だと、「山頂に到達しつつある」「まだ山頂に到達していない」とかでしょうか