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Paisley Livingston「物語性と知識」

narrative

あまりまとめても仕方ないタイプの論文だけど、まあまとめる。
http://philpapers.org/rec/LIVNAK
Livingston, Paisley (2009). Narrativity and Knowledge. Journal of Aesthetics and Art Criticism 67 (1):25-36.

  • 1. 物語の長所と短所
  • 2. 物語と物語性の対立する定義
  • 3. 物語性と「グッドストーリー」の悪徳
  • 4. 物語の賞賛
  • 5. 結論

この論文では、「物語にはこういう特徴があって、それゆえこういう認識の欠陥をもたらします」「こういうよい認識をもたらします」という見解を批判する。一般論としてダメという話ではなく、個々の議論をとりあげて、ここがダメとめったぎりにしていくような内容になっている。
こういうタイプの見解では、説明項が物語性であり、被説明項が認識欠陥または認識利得になるわけだが、Livingstonはまず物語性について合意がなく、ほとんどの論者が問題ある一般化をしていることを指摘していっている。また物語性によって認識欠陥を説明する部分にも問題があり、ここでも過剰な一般化やデータに基づかない議論がなされている。

Robyn Dawes
物語は個別的な出来事を語るもの。物語を構成するのは個別的な記述なので説明の役割を果たさない。にもかかわらず説明されたような錯覚を与える。

→多くの物語には一般的な見解も含まれる。また、個別的な記述が認識の欠陥をもたらすというのも根拠がない。

David Velleman
物語は感情を動かすもの。感情を動かすので、主観的な重要性と客観的重要性を取り違える。

→感情的でない物語もあるし、物語以外にも感情を動かすものがある。また、適切な感情の喚起もあるし、感情の喚起が常に認識の欠陥をもたらすわけでもない。

Alasdair MacIntyre
物語ははじめと中間と終わりがある。物語は行為の統一された連鎖である。物語の中の行為は理解可能であり、責任を持った行為者によって実行される。そこで行為者の人生はよき生を求める統一された挑戦という形式を取る。

→物語に関する他の定義がまったく検討されていない。物語がこういう性質を持つことで認識利得をえるというのも根拠がない。多くの物語はフィクションであり、誰かの人生全体について伝えることを意図していない。また仮にそういう物語であったとしても、ひどく誤解をまねくものもあるだろう。