書いた論文の宣伝: スーパーヒーローの概念史

フィルカル最新号(Vol. 3, No. 1)に「スーパーヒーローの概念史: 虚構種の歴史的存在論」という論文を書きました。

BaseまたはAmazonなどから購入できます。あと池袋のジュンク堂さんや新宿の紀伊国屋さんにあるようです。

目次は以下で見ることができます。

http://philcul.net/?p=598

(1) スーパーヒーローの歴史を扱った論文です

38年から80年代くらいのアメリカンコミック史(スーパーヒーローコミックのみ)をざっと扱っています。メインは60年代です。

これを読むと、最近のMCU映画などでも有効な「スーパーヒーロー=トラブルメーカー」という図式や、ユニバース化の傾向がだいたい60年代のマーベルでスタン・リーやジャック・カービーによって作られたということがわかります。また、この論文のメインの主張としては、60年代の前後で、スーパーヒーロー概念が、〈読者が用いる概念〉から〈キャラクターが自己規定に用いる概念〉に変化し、それによって分類が変化したということを書いています。

すいませんがちょっと長いんですが、無意味に長くしたわけではなく、歴史的な素材を扱うところでどうしてもページ数が必要でした。

(2) ハッキングの研究の応用です

この論文は、イアン・ハッキングのやっている「歴史的概念分析」(歴史的存在論)を自分でもやってみたというものになります。だいたい哲学者はハッキングのことはほめるけど、絶対自分でハッキング的な研究はしないんですが(本当にやってる人がいない)、私は自分でハッキング的な研究を実行してみました。

なんでそんなことをやろうと思ったかというと、私自身はフィクションの哲学に関心があるんですが、メインの関心はやはり、私たちがフィクションに関わる時に実際にやっていることをきちんと理解したいという部分にあるんですね。そういうモチベーションが大きいので、抽象的な議論だけでフィクショナルキャラクターの存在論とかを扱うことにちょっと限界を感じていたというのもあります(もちろん哲学的な議論だけでできる仕事もまだあるでしょうし、単純にいろんなアプローチがあっていいと思うんですが)。

そこで何か具体的なジャンルとか虚構種の歴史を扱いたいと思って、スーパーヒーローにしました。なんでスーパーヒーローかというと、単純に私が興味があるというのもあるんですが、主な理由は先行研究が多かったからです(そのうち先行研究の紹介もしようかと思います)。

イベントもあります!

4月21日(土)19時から、田原町の書店Readin' Writin'さんで、私と岩切啓人さんと森功次さんで、フィルカル最新号ににからめてトークイベントをします! こちらもよろしくお願いします。

【日時】4月21日(土)18:30開場 19:00開演

【場所】田原町 書店「Readin’ Writin’」

【料金】参加費1,000円

【登壇者】高田敦史、岩切啓人、森功

イベントの詳細

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