Noel Carroll「物語的連結について」
Beyond Aesthetics: Philosophical Essays
Carroll, Noel, 2001, On the narrative connection
- 1. 物語的連結を定義する
- 2. 反論
- 3. 物語の理解
物語的連結は物語の主要な構成要素であるとされる。物語的連結は、二つの出来事の関係である。キャロルによれば、あるテキストが物語であるのは、それが多くの物語的連結を含むときだ。
キャロルによれば、物語的連結が実現するのは以下のときである。
- 1. 言説が、二つ以上の出来事/事態を表現する。
- 2. 全体的に前方志向的な仕方(時系列順)である。
- 3. 少なくとも一つの統一された主体の履歴に関わる。
- 4. 出来事/事態の時間的関係が明確に順序づけられている。
- 5. 前の出来事は後の出来事/事態の引き起こしのための少なくとも因果的必要条件である。
基本的には物語には因果関係が必要という話である。因果関係が表現されていない場合は、「記録」「年代記」といった別のカテゴリーになる。
ただ、ここで問題になる因果関係は「もし仮に前の出来事がなければ後の出来事も無かっただろう」というものだとされる。
十分な原因(前の出来事が起きれば必ず後の出来事も起きる)である必要はないということで、少し弱い条件になっている。
INUS条件(insufficient but non-redundant parts of a condition which is itself unnecessary but sufficient for the occurrence of the effect)というらしい。
キャロルの物語論については以下なども
Noel Carroll「物語的閉合」 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ