2015-01-01から1年間の記事一覧

Teresa Marquis「相対的正しさ」- 相対主義の表現できなさ

以下の論文を読んだ。今ひとつMarquisさんが何を批判しているのかよくわからず。 http://philpapers.org/rec/MARRC-4 Marques, Teresa (2014). Relative Correctness. Philosophical Studies 167 (2):361-373. 相対主義の意味論が正しければ、「おいしい」の…

Berit Brogaard「根本的認識規範としての知的開花」

以下の1本目を読んだ。 Clayton Littlejohn, John Turri編『認識規範』 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめhttp://philpapers.org/rec/BROIFA-2 Brogaard, Berit (2014). Intellectual Flourishing as the Fundamental Epistemic Norm. In C. Littlejohn & J…

ホームズは必然的に人ではないのか

細かい話。 『名指しと必然性』のアペンディクスで、クリプキはホームズという人が存在する可能世界はないとしている。率直に解釈すれば、これは「ホームズが人であることは不可能だ」「ホームズは必然的に人ではない」ということのように思われる。というの…

応用哲学会発表「人工物としてのフィクショナルキャラクター」の原稿

アップロードしました。 https://dl.dropboxusercontent.com/u/140037/takada-2015-charactersasartifact.pdf

Page「心から独立を明確化する」

http://philpapers.org/rec/PAGMDS Page, Sam (2006). Mind-independence disambiguated: Separating the meat from the straw in the realism/anti-realism debate. Ratio 19 (3):321–335. 1. 序 2. 存在論的、因果的、構造的独立 3. 個体的独立 4. 反実在…

Clayton Littlejohn, John Turri編『認識規範』

Epistemic Norms: New Essays on Action, Belief, and Assertion 序文だけ読んだ。ちょっと高いけどkindle版が書籍版の判型に合わせてあるタイプだったので、kindle版おすすめ(ページ数がわかる)。収録論文 1: Berit Brogaard: Intellectual Flourishing as …

スタンフォード哲学事典「フィクション」

少し前に読んだ。フィクションの意味論と存在論に関する記事としてはわりとバランスがとれていてよかった。Fiction (Stanford Encyclopedia of Philosophy) 著者はFred Kroon, Alberto Voltolini 1. 虚構的なものの形而上学 1.1 可能主義 1.2 マイノング主義…

Timothy Williamson『知識とその限界』11章「主張」

Knowledge and Its Limitsじわじわ読んでいるウィリアムソン。11章はかなり関心がある章なのでまとめるよ。この章は多分単独でも読める(かもしれない)し、この本の中では比較的読みやすいのでおすすめ(この本は全体に最悪に難しいのであくまで相対的にだけど…

Kit Fine「存在論の問い」

http://philpapers.org/rec/FINTQO-2 Fine, Kit (2009). The question of ontology. In David John Chalmers, David Manley & Ryan Wasserman (eds.), Metametaphysics: New Essays on the Foundations of Ontology. Oxford University Press. 157--177.結構…

David Liebesman「必然的に、シャーロック・ホームズは人ではない」

http://philpapers.org/rec/LIENSH Liebesman, David (2014). Necessarily, Sherlock Holmes Is Not a Person. Analytic Philosophy 54 (4):306-318. http://www.davidliebesman.net/wp-content/uploads/2013/11/holmes10-4.pdf 1. 序 2. 議論 3. 反論と返答…

Williamson『知識とその限界』三章「素であること」

Knowledge and Its Limits Knowledge and Its Limits三章まで読んだ。 三章がおもしろかったのでまとめる。すいませんが難しいです。 信念と真理とあと何か 本書、特にその前半で、ウィリアムソンは「知識は心の状態である」という立場を擁護している。 古典…

James Harold「虚構世界の価値 - あるいはなぜ指輪物語を読むべきなのか」

『指輪物語』は素晴しい文学作品ではないけれど、素晴しい虚構世界を作ったので素晴しいものなのだという話。 ある種の作品は、作品単体ではなく、それが作る虚構世界のために評価されるという話をしている。小ネタだけどなかなかおもしろかった。こういう特…

「図像的フィクショナルキャラクターの問題」が公開されました

一応こちらでも告知。論文「図像的フィクショナルキャラクターの問題」が応用哲学会誌Contemporary and Appied Philosophyで公開されました。去年の発表を加筆修正して論文化したものです。よろしくお願いします。 http://openjournals.kulib.kyoto-u.ac.jp/…

Kendall Wallton「芸術のカテゴリー」

Walton, Kendall L. (1970). Categories of art. Philosophical Review 79 (3):334-367. http://philpapers.org/rec/WALCOA-2分析美学の古典的論文のひとつ。 芸術の美的価値は、作品のうちに知覚されるものだけによって決まるのか。それとも作品の歴史的文…

キャラクターの存在論および意味論に関するウォルトンの立場

Mimesis as Make-Believe: On the Foundations of the Representational Arts『メイクビリーブとしてのミメーシス』の10章および11章で提示されているウォルトンのキャラクターの存在論および意味論に関する立場をまとめる。それなりに複雑なので一応まとめ…

Kendall Walton『メイクビリーブとしてのミメーシス』: 虚構性

Mimesis as Make-Believe: On the Foundations of the Representational Arts最近ウォルトンをまた読んでいる。ウォルトンのいうメイクビリーブ理論ってごちゃごちゃしていてわかりにくいなと思っていたが、メイクビリーブ理論は、虚構性[fictionality]の概…

『時間にとって十全なこの世界』四章/発話の真理と命題の真理とか

時間にとって十全なこの世界: 現在主義の哲学とその可能性この章では、言明の真理値の変化によって現在主義の背景にある時制理論を特徴付け、それが言明トークンの真理条件の変化という不合理な帰結をもたらすことを問題視している。例えば、時点t1における…

John MacFarlane『評価感応性』3章の真意味論/後意味論の区別とか

Assessment Sensitivity: Relative Truth and its Applications (Context And Content)真理の相対主義を擁護する恐怖の書、Assesment Sensitivity。 5章くらいまで読んだのだけど、文脈依存性まわりの概念が複雑なのでまとめておく。 3章では、真理の相対主…

藤川直也『名前に何の意味があるのか』合評会の原稿

アップロードしました。 https://dl.dropboxusercontent.com/u/140037/takada-2015-namae.pdf

John MacFarlane「未来の偶然者と相対的真理」

マクファーレンは意味論的相対主義ないし分析的相対主義と呼ばれる立場の主要な擁護者である。 これは最初に意味論的相対主義を提示した論文にあたる(だったはず)。意味論的相対主義は、趣味や倫理的言明など、様々な領域の発話に自然な意味論を与えるが、こ…

Sthephen Shiffer「言語によって作られた言語から独立したもの」

Shiffer, Stephen (1996). Language-Created Language-Independent Entities. Philosophical Topics 24 (1):149-167._ http://philpapers.org/rec/SHILLE命題や性質の存在論について、フィクショナルキャラクターについての創造物説と比較しつつ議論している…

『名前に何の意味があるのか』の固有名の指示に関する立場のメモ

名前に何の意味があるのか: 固有名の哲学 『名前に何の意味があるのか』では、クリプキやエヴァンズの議論を批判的に検討したあと、2章後半で、固有名による指示の条件に関するオリジナルな立場が擁護される(pp.45-67, 2-3)。ここはわりと複雑なので、一読し…

Nathern Salmon「非存在者」

以下を読み直していた。 http://philpapers.org/rec/SALN Salmon, Nathan (1998). Nonexistence. Noûs 32 (3):277-319.サモンは、フィクショナルキャラクターについての創造物説[creationism]の主要な擁護者のひとりである(創造物説は「抽象的人工物説」と同…

[fiction] Jeffrey Goodman「シャーロック・ホームズはどこにいる?」

http://philpapers.org/rec/GOOWIS-2 Goodman, Jeffrey (2003). Where is Sherlock Holmes? Southern Journal of Philosophy 41 (2):183-197.これも抽象的人工物としてのフィクショナルキャラクターを扱うもの。 アミ・トマソン以降多くの論者は、抽象的人工…

Hayaki Reina「抽象的対象としてのフィクショナルキャラクター: 問題点」

http://philpapers.org/rec/HAYFCA Hayaki, Reina (2009). Fictional Characters as Abstract Objects: Some Questions. American Philosophical Quarterly 46 (2):141 - 149.抽象的人工物説とは、フィクショナルキャラクターを、人間の「創作物」として扱う…

Kit Fine「同一性の基準と基礎付け」

http://philpapers.org/rec/FINICA-2 Fine, Kit (forthcoming). Identity criteria and ground. Philosophical Studies:1-19. criteria of identity and ground | Kit Fine - Academia.edu なぜかキット・ファインをたくさん読んでいる。 これは、同一性の基…

キット・ファインのパーソンズ対象論の批判

以下を読んだ。キット・ファインのパーソンズ対象論の批判がおもしろいので軽くまとめておく。 http://philpapers.org/rec/FINCRO Fine, Kit (1984). Critical review of Parsons' non-existent objects. Philosophical Studies 45 (1):95-142. ちなみにキッ…

Kripke「真理の理論のアウトライン」

http://philpapers.org/rec/KRIOOA Kripke, Saul A. (1975). Outline of a theory of truth. Journal of Philosophy 72 (19):690-716. ちょっと前に出た論文集に入っている。 Philosophical Troubles: Collected Papers 新年一発目は信念のパズルにしようと…