2014-01-01から1年間の記事一覧

Currie『物語と語り手』1章の人生はストーリーではない論証

Narratives and Narrators: A Philosophy of Stories 1章4節の「自然の物語?」の箇所。 読み返していて、気になったのでまとめる。Currieはここで物語としての人生という議論を批判している。 物語としての人生の支持者によれば、人が人であるためには物語…

物語における前景/背景

言語学系の物語研究がそこそこあることに気づいたので少しお勉強。 以下はおもしろかった。多分美学や文学の人が読んでもおもしろいと思う。 浜田秀「物語の四層構造」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcss/8/4/8_4_319/_article/-char/ja/ 浜田秀「…

スタンフォード哲学事典「因果の形而上学」

【日記】最近は話題のアイドルマスターSideMにはまっています。推しは山下次郎と天道輝と神谷幸広です。 ちなみに私は移動時間や休憩時間など、生活の隙間時間を論文読みに当てているため、研究時間は仕事や余暇とは衝突しないのですが、アイドルマスターSid…

Barbara Herrnstein Smith「物語のバージョン、物語論」

http://philpapers.org/rec/SMINVN-2 Smith, Barbara Herrnstein (1980). Narrative Versions, Narrative Theories. Critical Inquiry 7 (1):213.著者は文学理論の人かな。言説とストーリーの区別を批判している。直接批判されているのは、チャトマン。 1. …

Ismay Barwell「物語を理解することと物語的な理解」

http://philpapers.org/rec/BARUNA Barwell, Ismay (2009). Understanding Narratives and Narrative Understanding. Journal of Aesthetics and Art Criticism 67 (1):49-59. 7/11 http://as.wiley.com/WileyCDA/WileyTitle/productCd-140519457X.html 1. …

Daniel Dohrn「反事実的な物語的説明」

http://philpapers.org/rec/DOHCNE Dohrn, Daniel (2009). Counterfactual Narrative Explanation. Journal of Aesthetics and Art Criticism 67 (1):37-47. 1. 説明 2. 文学の認識論的背景 3. 物語的説明 4. 文学における真理 5. 問題点 やばい、何を言って…

Nicholas Diehl「De Re的想像と語りについての対称性テーゼ」

以下の本に入ってる論文を順番に読んでるのだけど、これで何本目かな。 The Poetics, Aesthetics, and Philosophy of Narrative (Journal of Aesthetics and Art Criticism)http://philpapers.org/rec/DIEIRT Diehl, Nicholas (2009). Imagining De Re and t…

W.R.Carter「貫世界的な出来事の同一性」

タイトル見て、「すごい! こんなテーマで論文が!」と思ったら、他の人の同一性基準を批判してるだけで、自分で同一性基準を出してるわけじゃなかった。 http://philpapers.org/rec/CAROTE Carter, W. R. (1979). On transworld event identity. Philosophi…

Noel Carroll「物語的連結について」

Beyond Aesthetics: Philosophical Essays Carroll, Noel, 2001, On the narrative connection 1. 物語的連結を定義する 2. 反論 3. 物語の理解 物語的連結は物語の主要な構成要素であるとされる。物語的連結は、二つの出来事の関係である。キャロルによれば…

David Lewis「出来事」

これは難しかった。http://philpapers.org/rec/LEWE Lewis, David (1986). Events. In , Philosophical Papers Vol. II. OUP. 241-269. Philosophical Papers 1. 序 2. 出来事は時空領域の性質である 3. 出来事は本質的にも偶然的にも記述される 4. 出来事は…

JSTORの年間パスを買ってみた

JSTORの年間パス買ってみたよ。 http://jpass.jstor.org/ 個人で論文を買うと、一本15ドルから30ドルくらいで非常に高い。我慢して必要なものは買ってたんだけど、よく考えると年間パスの方がお得そうだ。 年199ドルで365日120ダウンロードまで。 だいたい年…

Amie Thomasson『フィクションと形而上学』のキャラクター同一性の基準

五章のキャラクターの同一性基準の話をまとめておく。 ここではキャラクターの同一性に加え、めずらしく間テキスト的なキャラクターの同一性が議論されている。パロディや二次創作におけるキャラクターの同一性も問題になっている。 Amie Thomasson, Fiction…

哲学とポップカルチャーの解釈

以下の本『哲学とポップカルチャーの解釈』の紹介と軽くポップカルチャーと哲学の話。 Philosophy And the Interpretation of Pop Culture この本とは別なんだけど、英語で「ポップカルチャーと哲学」というシリーズが出ている。 http://www.opencourtbooks.…

Jonathan Ichikawa『想像と認識論』3章「思考実験の直観と想像」

Jonathan Ichikawaの博論をちょっとずつ読んでいる。 以前読んだ思考実験と「フィクションにおける真」の話がもう少し詳細に書かれていたので軽くまとめておく。難しかったので一部だけ。 https://rucore.libraries.rutgers.edu/rutgers-lib/24569/ 以前のエ…

Paul J. Silvia『たくさん書く方法』

How to Write a Lot: A Practical Guide to Productive Academic Writing心理学者が主として同僚の心理学者に向けて書いた生産的な書き手になる方法だが、普通にどの分野の人でも役立つだろう。 以下に紹介あり。 心理学者が教える少しの努力で大作を書く/…

Alessandro Giovannelli「物語のキャラクターに共感的であること」

sympathyとempathyの訳語に迷うんだけど、ここではsympathyを「共感」、empathyを「感情移入」にする。 定訳では、sympathyを「同情」、empathyを「共感」とするのが多いみたいだけど、「同情」だとネガティブなときにしか使えない感じがするのでちょっと。s…

哲学的意義とは何か

まえおき 哲学的意義の話をするとっかかりはいろいろとある。とりあえず、妥当性との違いから話をはじめよう。 哲学者はよく、哲学のアーギュメントが妥当かどうかということを気にする。ちゃんと結論をサポートする理由をあげることができているか。例は妥…

Paisley Livingston「物語性と知識」

あまりまとめても仕方ないタイプの論文だけど、まあまとめる。 http://philpapers.org/rec/LIVNAK Livingston, Paisley (2009). Narrativity and Knowledge. Journal of Aesthetics and Art Criticism 67 (1):25-36. 1. 物語の長所と短所 2. 物語と物語性の…

Bence Nanay「物語的図像」

narrative pictureは美術史の用語らしいが日本語で何と訳すのかはわからなかったので物語的図像にしておく。ちなみに、日本の絵巻物は英語でnarrative picture scrollと訳すらしい。 http://philpapers.org/rec/NANNP Nanay, Bence (2009). Narrative Pictur…

Ben Bradley, Kris McDaniel「死と欲望」

http://krmcdani.mysite.syr.edu/deadesir.pdf Ben Bradley and Kris McDaniel, 2013. "Death and Desires", in James S. Taylor (ed.), The Metaphysics and Ethics of Death The Metaphysics and Ethics of Death: New Essaysあいかわらずシャープな論文を…

Gregory Currie「美学をするために安楽椅子の外に出ることについて」

Philosophical Methodology: The Armchair or the Laboratory? Currie, Gregory, 2013, On getting out of the armchair to do aesthetics', in M. Haug (ed) Philosophical Methodology: The Armchair or the Laboratory? Routledge. 美学的直観 芸術と知識…

Aaron Smuts「ストーリーの同一性とストーリーのタイプ」

ストーリーの同一性について。これ結構おもしろい問題かもしれない。 http://philpapers.org/rec/SMUQIA Smuts, Aaron (2009). Story Identity and Story Type. Journal of Aesthetics and Art Criticism 67 (1):5-14. 1. 序 2. 基本的なジレンマ 3. 誤った…

Galen Strawson「物語性に反対」

物語的な自己とか、物語的な人生とかいらんやろという論文。ちなみこの人は日常言語学派の有名なP.F.ストローソンではなく、その息子。 http://philpapers.org/rec/STRAN Strawson, Galen (2004). Against narrativity. Ratio 17 (4):428-452. 節タイトルは…

Antti Kauppinen「意味があることと時間」

http://philpapers.org/rec/KAUMAT Kauppinen, Antti (2012). Meaningfulness and Time. Philosophy and Phenomenological Research 84 (2):345-377.人生の物語的構造と人生の意味に関する文献。人生の意味に関する文献だと「物語」はマジックワードになりが…

有馬斉「人の生死の科学的客観性を支える二つの形而上学的な前提について 」

http://ir.library.osaka-u.ac.jp/dspace/handle/11094/6562サーベイ的な内容だけど、これはなかなかよかった。哲学論文って、なぜこれが哲学の問題になるかをそのつど示さなければならないところがあるが、その部分が非常にスムーズだった。文章がとても読…

Noel Carroll「物語的閉合」

心理学用語のclosureは「閉合」が定訳のようなのでそれに合わせる。 Carroll, Noel (2007). Narrative closure. Philosophical Studies 135 (1):1 - 15. http://philpapers.org/rec/CARNC 物語的閉合[narrative closure]とは、物語のまとまりのことだ。物語…

Timothy Williamson『哲学の哲学』

The Philosophy of Philosophy (The Blackwell / Brown Lectures in Philosophy)過去記事 Timothy Williamson『哲学の哲学』5章 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ Timoty Williamson『哲学の哲学』6章「思考実験」 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ Will…

Gregory Currie『物語と語り手』

Narratives and Narrators: A Philosophy of Stories目次 1. 表象 Representation 2. 物語の内容 The content of narrative 3. 物語の二つの見方 Two ways of looking at a narrative 4. 著者と物語 Authors and narrators 5. 表出と模倣 Expression and imi…

Timothy Williamson『哲学の哲学』7章「哲学における証拠」

7章のまとめ。 The Philosophy of Philosophy (The Blackwell / Brown Lectures in Philosophy)まとめてない章もあるが、とりあえず一通り読めた。 過去記事 Timothy Williamson『哲学の哲学』5章 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ Timoty Williamson『哲…

Perfit「なぜ何かが? なぜこれが?」のレジメ

以前読んでいたParfit, Why Anything? Why This?のレジメもついでに公開。 Parfit, Derek (1998). “Why Anithing? Why this?”. London Review of Books 20 (2): pp. 24-27. https://docs.google.com/document/d/1hyFa9T0ji_y9kHgynEjC-KWIjxMJzKMjEquK5bPeqJ…