2014-01-01から1年間の記事一覧

Bence Nanay「音楽の二面性」

告知 ブログ更新通知用のTwitterアカウント作ってみたよ。 → https://twitter.com/at_akada_phi/ http://philpapers.org/rec/NANMT Nanay, Bence (2012). Musical twofoldness. The Monist 95 (4):607-624. 1. 序 2. 二面性と図像 3. 二面性と音楽の演奏 4. …

Peter Lamarqe「物語に期待しすぎないこと」

http://philpapers.org/rec/LAMONE Lamarque, Peter (2004). On not expecting too much from narrative. Mind and Language 19 (4):393–408.目次 1. 物語の定義 2. 構造的特徴 3. 指示と真理 4. 物語の実践 5. 物語の価値 6. 物語的同一性と人生の物語 7. …

[fiction] フィクション論の古典なり基礎文献的なもの

フィクション論の古典なり基礎文献的なものがあれば教えてくださいという質問がask.fmに来てたので答えます。 以前からフィクションの哲学はいろんなテーマが錯綜していてややこしいと思っていたのでこの機会にちょっと整理してみる。 まず日本語で読める本…

哲学誌のランキング

そういえば調べたことがなかったので調べてみた。トムソン・ロイターが出してるインパクトファクターは有償なので、無償のサイト限定でトップ10。結構ばらけていておもしろい。 事前のイメージとしては、Philosophical Review, Nous, Philosophical Studies,…

Tom Cochrane「物語と性格の編成」

性格の概念は物語と関係深いが、性格の概念自体とても難しいなと最近思っている。 まず、性格には二種類ある。 説明項としての性格 性格は、本人の行為や心理を説明するものだとされることがある。例えば性格を知ることで、当人の未来の行為をある程度予測で…

「美学におけるエリート主義の問題」

Aesthetics For Birds: "The Problem of Elitism in Aesthetics" by Bence Nanay Bence Nanayがブログに書いていた記事。 (どうでもいいけど、英語圏のブログってゲストに記事を書いてもらうのをよくやってるけど、これあんまり日本で見ないね) 前半は美学が…

クワイン・マクラスキー法の実装

誰が興味あるのか知らないけど、諸事情によりPythonでクワイン・マクラスキー法を実装したので公開してみるよ。https://github.com/takada-at/makurasan クワイン・マクラスキー法とは何か? 論理式を簡単にするアルゴリズムです。詳しくはwikipediaを(日本語…

Luke Purshouse「恥ずかしさ: 哲学的分析」

http://philpapers.org/rec/PUREAP Purshouse, Luke (2001). Embarrassment: A philosophical analysis. Philosophy 76 (4):515-540.過去の恥ずかしさについて研究したくて、恥ずかしさの哲学を探したらちゃんと文献あった。 1. 予備的論点 2. 恥ずかしさと…

Aaron Smuts「愛の規範的理由パート2」

http://philpapers.org/rec/SMUNRF-2 Smuts, Aaron (2014). Normative Reasons for Love, Part II. Philosophy Compass 9 (8):518-526.パート1は愛の定義みたいな話だったので飛ばしてパート2だけ読んだ。 「愛に理由はいらない」という理由無し説(No-Reason…

フィッシュ『知覚の哲学入門』のクオリア説のあたり

知覚の哲学入門 待望の知覚の哲学の教科書が翻訳された。 とりあえず読んだんだけど、思ったより難しく、流し読みだけでは未消化だった。 とりあえず最初読んでよくわからなかったあたりを整理していこう。 3章副詞説のところで、クオリア説に親和的な副詞説…

Thomas Crowther「出来事という物質」

http://philpapers.org/rec/CROTMO-4 Crowther, Thomas (2011). The Matter of Events. Review of Metaphysics 65 (1):3- 39.タイトルの訳はこれでいいか微妙。以前難しくて読みかけて放置していたのだが、何とかがんばって読んだ。アスペクトの話は頭がねじ…

Peter van Inwagen「復活の可能性」

http://philpapers.org/rec/VANTPO-21 van Inwagen, Peter (1978). The Possibility of Resurrection. International Journal for Philosophy of Religion 9 (2):114-121.キリスト教の教義では、世界の終わりにイエス・キリストが再臨し、あらゆる死者をよみ…

ポール・グライス「行為と出来事」

理性と価値: 後期グライス形而上学論集 翻訳に入ってる「行為と出来事」だけ読んだ。 いくつかの論点があって、 A. デイヴィドソンの出来事論を批判し、基礎的な身体変化からなる出来事論を提案している。 B. 行為は出来事ではないという議論をしている。出…

状況モデル

先日駒場であった研究会で、心理学の人の物語に関する研究発表を聞いた。状況モデルというのを使った研究がいろいろあるようで、おもしろそうだったので軽く調べてみた。 英語のwikibooksが詳しかった。 http://en.wikibooks.org/wiki/Cognitive_Psychology_…

Friederike Moltmann「出来事、トロープ、真にする」

Moltmann, Friederike (2007). Events, tropes, and truthmaking. Philosophical Studies 134 (3):363-403. http://philpapers.org/rec/MOLETA 目次 1. 名詞化の種類 2. トロープの名詞化 3. 出来事の名詞化 4. 派生的対象としての出来事 5. 出来事に関する…

Joshua Seachris「物語としての人生の意味」

Seachris, Joshua (2009). The Meaning of Life as Narrative. Philo 12 (1):5-23. http://philpapers.org/rec/SEATMO-4 1. 序 2. 問いの解釈: 混合説 3. 物語的解釈: 文献からのヒント 4. 物語としての人生の意味 a. 物語論から借りる b. 「xの意味は何か?…

Bernerd Williams, 「マクロプロス事件:不死の退屈さについての考察」

Williams, B., 1973, “The Makropulos Case: Reflections on the Tedium of Immortality”, in Problems of the Self, Cambridge: Cambridge University Press: 82–100. Problems of the Self: Philosophical Papers 1956–1972 (Philosophical Papers 1956-19…

Joshua Seachris「死、無意味、物語の結末の予見的力」

科学的世界観の下では、未来にはすべては消えて塵になってしまう。だからすべては無意味だという人たちがいる。また多くの宗教は、死後の世界において私たちの善悪があがなわれると言う。 死後に何もなくなるからすべては無駄だという論証が正しいかどうかは…

人生の意味

最近は人生の意味に関するものを読んでいる。まとめをさぼっていたら読んだものがたまってしまった。 人生の意味に関しては、文献はたくさんあるのだが、人生の意味ということでどういうことを考えているかが人によって結構違うのでなかなか大変だ。あと言い…

Aaron Smuts「不死と重要性」

「不死の悪」関連。http://philpapers.org/rec/SMUIAS Smuts, Aaron (2011). Immortality and Significance. Philosophy and Literature 35 (1):134-149. Smutsは不死に関するウィリアムズの議論を批判しつつ、不死は生から重要性を奪うという点ではウィリア…

Aaron Smuts「愛と自由意志」

http://philpapers.org/rec/SMUQAF https://sites.google.com/site/asmuts/research/download-papers/Smuts_14_LoveAndFreeWill_v6_20140513.pdf?attredirects=0&d=1 Smuts, Aaron, Love and Free Will.目次 1. 序 2. 愛と愛の関係 3. 愛の贈り物 4. オベイ…

Ira Newman「仮想的な人々: 現実のフレームによるフィクショナルキャラクター」

http://philpapers.org/rec/NEWVPF Newman, Ira (2009). Virtual People: Fictional Characters through the Frames of Reality. Journal of Aesthetics and Art Criticism 67 (1):73-82.以下の本に入ってる論文を順番に読んでるのだけど、そろそろ10本目。 …

Guy Kahane「われらの宇宙的無意味さ」

http://philpapers.org/rec/KAHOCI Kahane, Guy (2013). Our Cosmic Insignificance. No〓s 47 (2):n/a-n/a. 目次 無意味さとメタ倫理 内在的価値からの議論 重要性は価値と同じではない 宇宙的重要性 想定されたわれらの宇宙的無意味 宇宙的視点から本当に…

Peter Lamarque「フィクショナルキャラクターの作り方」

Work and Object: Explorations in the Metaphysics of Art http://oxfordindex.oup.com/view/10.1093/acprof:oso/9780199577460.003.0009 1. 問題 2. 形而上学とキャラクターの同一性 3. 関心に相対的な同一性 4. キャラクターと個別化 5. 文学的次元 フィ…

Bernard Williams「物語としての人生」

死後に発表されたもの。口頭で喋ったものらしい。おもしろかったし、マッキンタイアを最大限好意的に解釈した上で批判する辺りは見事。 http://philpapers.org/rec/WILLAN-2 Williams, Bernard (2009). Life as narrative. European Journal of Philosophy 1…

Peter Goldie「物語的思考・感情・計画」

http://philpapers.org/rec/GOLNTE Goldie, Peter (2009). Narrative Thinking, Emotion, and Planning. Journal of Aesthetics and Art Criticism 67 (1):97-106.おもしろかったのだが、あまりうまくまとめられない。 目次 1. 非現実のエピソードと物語的思…

Donald Baxter「緩やかな同一性と他のものになること」

http://philpapers.org/rec/BAXLIA Baxter, Donald L. M. (2001). Loose identity and becoming something else. No〓s 35 (4):592–601. 私たちはいろんなものを「同じである」と見なす。例えば、今日大阪を襲ったのと同じ台風が明日東京に到来すると言うこ…

Amie Thomasson「現象学と日常言語の哲学における概念分析」

Thomassonがこんな論文を書いていたので読んでみた。 http://philpapers.org/rec/THOCAI Thomasson, Amie L. (2007). 15 Conceptual analysis in phenomenology and ordinary language philosophy. In Micahel Beaney (ed.), The Analytic Turn. Routledge. …

Jonathan Bennet「出来事とは何か」

最近出来事関係の論文を読んでいて、出来事の再記述を認めるかどうかという対立がひっかかってきている。私にはあまりこの対立が深い対立であるとは思えなくて、出来事の再記述を認めないキムなどの立場でも、ほんのわずか修正するだけで、出来事の再記述を…

Henry John Pratt「マンガにおける物語」

マンガにおける物語について、文字、絵、コマから分析している。それほど新しいことを言っているわけでもないが、まとまっている。 時間が経過するコマ継起と時間が経過しないコマ継起があるというのは、前に書いた前景/背景の話とも関連しそうなので、文章…